スキャンした古い写真を修復する
アルバムから剥がした写真をスキャンしてみたら、思っていたより色あせていて、顔もぼんやりしている。よくあることです。AIによる修復はかなりのところまで戻せますが、仕上がりの良し悪しは、実はスキャンの段階と処理の順番でほぼ決まります。ここでは、スキャナの設定、AIにできること・できないこと、そして失敗しにくい手順をまとめます。
スキャンで仕上がりの半分が決まる
- 解像度は原版の大きさで決める:10 × 15 cmのような小さなプリントは600 dpiで取り込みます。A4程度以上の大きな原版なら300 dpiで十分です。目安は、取り込んだあとで長辺が3000ピクセル以上あること。
- 白黒写真でもカラーで取り込む:モノクロ設定にすると、セピアや退色の情報が捨てられます。カラーで取り込んでおけば、あとから色を整えることも、カラー化することもできます。
- 保存はTIFFか最高品質のJPEG:スキャナの初期設定は、圧縮率の高いJPEGになっていることがあります。ここで潰れたディテールは、あとから何をしても戻りません。
- ガラスとホコリを先に掃除する:ガラスの指紋、写真表面のホコリや繊維は、そのまま「本物のディテール」として拡大されます。乾いた柔らかい布とブロアーで落としてから置いてください。
複数枚を並べて一度にスキャンすると、1枚あたりの解像度が下がります。手間でも1枚ずつ、傾かないように置いて取り込んでください。
修復ツールの上限は20メガピクセルです。10 × 15 cmを600 dpiで取り込むと約8メガピクセルなので、まず問題ありません。
AIにできること、できないこと
できるのは、元の写真に情報として残っているものを読み取り直すことです。
- 顔の再構成:目、まつげ、唇の輪郭、肌の質感。小さく写った顔ほど変化が分かります。
- フィルムの粒状感やスキャンのノイズの除去。
- ぼやけの補正と、背景を含めた拡大。
- 白黒やセピアの写真への着色。
できないのは、最初から写っていなかったものを取り戻すことです。破れて欠けた部分、光が飛んで真っ白になった部分、印画紙が剥がれた部分には、元の情報がありません。AIはそこに「ありそうなもの」を描きます。もっともらしく見えても、それは事実ではありません。人物の欠けた部分については特に、復元ではなく創作になることを理解したうえで使ってください。
もう一つの限界は、写っている人数と顔の大きさです。集合写真のように小さな顔がたくさん並ぶ写真では、顔1つに使える情報が少なく、仕上がりのばらつきが大きくなります。
順番が結果を変える:ノイズ除去 → 顔 → 色
3つの処理は、この順番で通すのがもっとも安定します。
- 先にノイズ除去:粒状感が残ったまま拡大や顔の再構成にかけると、モデルは粒をディテールだと解釈し、肌にざらついた模様を焼き付けてしまいます。強さは50 %前後から試し、質感まで消えるほどかけないのがコツです。
- 次に古い写真の修復で顔を立て直す:ノイズの取れた面の上なら、モデルは本物のエッジだけを手がかりにできます。同時に背景も整い、×2まで拡大できます。
- 最後に色:白黒写真カラー化は、構造がはっきりした画像ほど色を置き間違えません。先に着色してしまうと、そのあとのノイズ除去や顔の再構成で、色の境界がにじんだり不自然に動いたりします。
修復ツールの中でカラー化まで一度に済ませることもできます。まず一括で試し、顔だけ、あるいは色だけが気に入らないときに工程を分けて調整するのが、いちばん早いやり方です。
参照写真を使うとき
元の写真の劣化が激しいと、たとえばメッセージアプリで何度も転送されて小さくなった写真や、印画紙が変色した写真では、顔の再構成は誰でもない一般的な顔に寄っていきます。目鼻立ちの手がかりが足りないぶんを、モデルが学習した平均的な顔で埋めてしまうからです。
そこで、同じ人物が写っている鮮明な写真を追加します。1枚でも効果があり、最大3枚まで使えます。別の年代、別の角度でも構いません。モデルはその人物の特徴を手がかりに顔を組み立て直し、類似度を測った複数の候補を出すので、いちばん本人に近いものを選べます。処理には1〜2分ほどかかります。
忠実度のスライダーは、再構成した顔をどれだけ強く出すかの調整です。100 %に近づけるほど、モデルが描いた顔がそのまま反映されます。人物写真では85 %前後から試し、「きれいだけれど別人」に見えたら下げてください。参照写真に選ぶのは、正面で顔がはっきり写っている鮮明なものです。サングラスや大きく傾いた角度の写真は、手がかりとしては弱くなります。参照写真も元の写真と同じように、処理後に削除されます。
Airpicでの手順
- スキャン画像を古い写真の修復にアップロードします。JPG・PNG・WebP・TIFF・HEIC・AVIFに対応し、上限は20メガピクセルです。
- 処理内容を選びます。顔の補正、×2拡大、白黒ならカラー化。粒状感の強い写真は、先にノイズ除去を通してから戻ってきてください。
- 顔が別人に見えるときは、同じ人物の鮮明な写真を1〜3枚追加し、忠実度を下げます。候補が並ぶので、比較して選べます。
- プレビューで元画像と見比べます。表示は無料なので、設定を変えて何度でも試せます。
- ダウンロードします。フルサイズのダウンロードは月1回無料で、それ以降は有効期限のないクレジットを使います。
修復した写真を印刷するなら、長辺のピクセル数を確かめてから注文してください。足りなければ画像拡大で印刷サイズをcmで指定できます。メールやアルバムサービスで家族に配るときは、HEICをJPGに変換するで紹介した圧縮を通すと、画質を保ったまま軽くできます。
FAQ
スキャナがない場合、スマホで撮ってもいいですか?
できます。写真を平らな場所に置き、真上から、影が入らない明るさで撮ってください。反射を避けるため、額やアルバムの透明シートからは出したほうが確実です。スキャンより情報量は落ちますが、そのまま処理できます。
破れやシミも直りますか?
修復ツールが得意なのは、粒状感、ぼやけ、ディテール不足です。物理的な破れやシミは、オブジェクト削除で損傷部分を塗ると、周囲から推定した内容で埋められます。ただしそれは復元ではなく、もっともらしい補完です。
何度も修復をかけると良くなりますか?
なりません。同じ顔モデルを重ねがけすると、モデルの癖が積み重なって本人から遠ざかります。1回で足りないときは、参照写真を足すか、忠実度を調整してください。
家族の写真はサーバーに残りますか?
残りません。ダウンロードの1時間後、遅くとも1日以内に削除されます。参照写真も同じです。処理はEU内のGPUで行われ、アップロードされた画像が学習に使われることはありません。
あわせて読みたい
HEICをJPGに変換する
iPhoneのHEICがフォームで弾かれる、Windowsで開けない。画質を落とさずJPGに変換する手順と、JPG・WebP・AVIFの選び分けを解説します。
商品写真の背景を白にする
ECの出品用に商品写真を白背景へ。マーケットプレイスが求める条件、輪郭に出る白いフチの防ぎ方、透過PNGと白背景の使い分けを解説します。