自宅の写真を証明写真にする
証明写真機に行かなくても、手持ちのスマートフォンで撮った写真を証明写真として使えます。難しいのは撮影そのものではなく、無地の白い背景と、印刷に足りるピクセル数を用意することです。この記事では、多くの提出先に共通する条件、自宅での撮り方、背景を白に置き換える手順、そして300dpiで印刷するために必要な画素数の計算をまとめます。
ほとんどの提出先が共通して求めること
規定は提出先ごとに違いますが、受け付けてもらえる証明写真には、どこでもほぼ同じ条件が並びます。
- 背景は無地で明るい色:白かごく薄いグレーが一般的です。柄、家具、カーテンの折り目が写っていれば差し戻しの対象になります。
- 顔は正面、中央に:カメラをまっすぐ見て、顔も体も傾けません。
- 表情は自然に、口は閉じる:歯を見せた笑顔は認められないことが多いので、ふだんの顔で撮ります。
- 帽子とサングラスは外す:宗教上の理由がある場合を除き、頭や目にかかるものは不可とされます。
- 背景に影を落とさない:壁のすぐ前に立つと輪郭に沿って濃い影が出ます。これがあると「無地の背景」と見なされません。
- 加工しすぎない:肌の補正、目の拡大、輪郭の修正は本人確認の妨げになります。
一方で、写真の寸法、頭頂からあごまでの長さ、上下の余白、撮影からの経過月数は、提出先が数値で決めています。パスポート、マイナンバーカード、運転免許、資格試験、履歴書ではそれぞれ違いますし、同じ書類でも規定は改定されます。撮る前に、提出先が公開している最新の要件を必ず確認してください。ここでは、どの規格にも共通する「無地の白い背景」と「印刷に足りる画素数」の作り方だけを扱います。
自宅で撮るときのコツ
特別な機材はいりません。押さえるのは光、カメラの高さ、距離の3つです。
- 窓からの自然光を正面に:日中、窓に向かって立ちます。天井の照明だけだと目の下と鼻の下に影が出ます。直射日光は避け、レースのカーテン越しの光が理想です。
- カメラは目の高さに:見上げる角度は鼻の穴が写り、見下ろす角度はあごが細くなります。机に本を積んでスマートフォンを固定するか、三脚を使ってセルフタイマーで撮ります。
- 1.5メートルほど離れる:スマートフォンの広角レンズは、近いほど鼻が大きく耳が小さく写ります。離れて撮り、あとから顔まわりを切り出すほうが自然な比率になります。
- ズームは使わず最大解像度で:デジタルズームは画素を捨てる処理です。設定でいちばん大きいサイズを選び、撮影後に切り出します。
- 前面カメラではなく背面カメラで:画素数が多く、レンズの質も上です。左右反転の設定にも注意してください。
- 服は背景と違う色に:白い壁の前で白いシャツを着ると、肩の輪郭が背景に溶けます。
背景そのものは気にしなくて構いません。本棚や壁紙が写っていても、あとで白一色に置き換えます。ただし体の後ろに濃い影が落ちる立ち位置だけは避けてください。影は背景ごと消えますが、髪や肩の輪郭が影に埋もれると、境界の判定が難しくなります。壁から1メートルほど離れて立てば、影は背景ではなく床に落ちます。まばたきや髪の乱れもあるので、同じ設定で10枚ほど撮って、あとから選ぶのが確実です。
背景を白に置き換える
背景を白にする方法は2つあります。白で塗りつぶすか、人物を切り抜いて白い背景の上に置き直すかです。髪の輪郭が複雑なぶん、後者のほうが速く、仕上がりも安定します。
ここで問題になるのが、髪の周りに残る白や灰色のフチです。原因はほぼ1つで、輪郭の判定を縮小した画像の上で行い、その結果を元のサイズに引き伸ばしていることです。長辺1000ピクセルほどで判定した境界を4000ピクセルに戻せば、境界は数ピクセル分ぼやけ、そこに元の背景の色が混ざったまま残ります。証明写真は拡大して確認されるので、このフチは意外と目立ちます。
背景削除は、人物を分離したあとに輪郭を元の解像度で計算し直し、境界のピクセルから背景の色を差し引いて前景の色を推定します。そのため後れ毛の1本や眼鏡のフレームの隙間も、白いフチを残さずに抜けます。仕組みは画像の背景を削除する方法で詳しく説明しています。
そして証明写真では、透過PNGではなく白で塗りつぶした画像を書き出してください。理由は2つあります。提出先のシステムが透過を扱えず、背景が黒く置き換わってしまうことがあること。もう1つは、印刷したときに透過部分が用紙の色そのものになり、わずかに色のついた紙だと「白い背景」と認められない可能性があることです。背景色に純白(#FFFFFF)を指定しておけば、画面でも紙でも同じ結果になります。切り抜きを別の用途に使い回す予定があるなら透過で保存する手もありますが(その考え方は商品写真の背景を白にするにまとめています)、証明写真は白一択です。
印刷用に準備する
証明写真は紙で提出することが多く、必要なピクセル数は印刷サイズから逆算できます。印刷の解像度は300dpi、つまり1インチあたり300ピクセルが目安です。計算式は次のとおりです。
必要なピクセル数 = ミリ ÷ 25.4 × 300
仮に指定が横35ミリ×縦45ミリだとすれば、35÷25.4×300で約414ピクセル、45÷25.4×300で約532ピクセルとなり、414×532ピクセルあれば300dpiで印刷できます。数字だけ見ると余裕に思えますが、実際に使うのは全身の写真から顔まわりだけを切り出した部分です。4000×3000ピクセルで撮った写真でも、顔の部分を取り出すと短辺が1000ピクセルを切ることは珍しくありません。判断はトリミング後のピクセル数で行ってください。
足りなければ、印刷に出す前に画像拡大で増やします。×2か×4で必要なサイズを十分に上回らせてから入稿すると、まつげや眼鏡のフレームがつぶれません。印刷を前提にした拡大の考え方は画像を大判印刷用に拡大する方法にも書いています。
写真店やコンビニのプリント機に出すなら、L判(89×127ミリ、300dpiで約1050×1500ピクセル)の用紙に証明写真を複数面付けして印刷するのが一般的です。この場合も、面付けした1枚がそのピクセル数に届いているか確認してください。保存形式は品質を高めに設定したJPEGが無難です。圧縮を強くかけると、髪や眼鏡のフレームの周りにモヤのようなノイズが出ます。オンライン申請でファイルサイズの上限が決まっているときは、画像圧縮で目標KBを指定すると、見た目を保ったまま上限に収められます。圧縮は処理もダウンロードも無料です。
Airpicでの手順
- 背景削除を開き、撮った写真をアップロードします。JPG・PNG・WebP・TIFF・HEIC・AVIFに対応しているので、スマートフォンのHEICもそのまま読み込めます。
- 背景に白を選びます。「色を選ぶ」から16進数で#FFFFFFを指定しても同じです。透明ではなく白にしてください。
- プレビューで髪、肩、眼鏡のフレームまわりを確認します。処理と結果の表示は無料なので、納得できるまで何度でも試せます。
- トリミング後のピクセル数が足りないときは、書き出した画像を画像拡大に読み込み、×2か×4で必要なサイズを超えるまで拡大します。本人確認に使う写真では「顔をきれいにする」は使わないでください。顔の細部が作り直され、実物と印象が変わることがあります。
- ダウンロードし、規定どおりの寸法にトリミングしてから印刷または提出します。フルサイズのダウンロードは月に1回無料で、それ以降は有効期限のないクレジットを使います。
アップロードしたファイルはダウンロードの1時間後、遅くとも1日以内にEU内のサーバーから削除され、学習に使われることはありません。顔写真のように扱いに気を使うファイルでも、アカウントを作らずにブラウザだけで完結します。準備ができたら背景削除から始めてください。
FAQ
証明写真は自宅で撮ってもいいですか?
多くの提出先では認められています。ただし寸法、顔の大きさ、撮影からの経過期間などの規定は提出先が決めていますし、書類によっては撮影方法そのものに条件がつくこともあります。撮る前に公開されている要件を確認してください。
背景は白でないとだめですか?
「無地で明るい色」とだけ指定されていて、薄いグレーや淡い色を認めているところもあります。共通しているのは、柄も影もない一色であることです。迷ったら純白にしておけば、白を求める提出先でもそのまま通ります。
眼鏡はかけたまま撮れますか?
認めている提出先が多いものの、レンズの反射、色付きレンズ、フレームが目にかかる写り方は不可とされるのが普通です。反射が出るときは、あごを少し引くか、照明の位置を変えて撮り直してください。外して撮るのがいちばん確実です。
スマートフォンで撮った写真でも印刷に耐えますか?
最大解像度で撮り、顔まわりを切り出したあとのピクセル数が必要なサイズを超えていれば問題ありません。足りない場合は、印刷に出す前に拡大しておきます。デジタルズームで寄って撮ると画素を捨てることになるので、離れて撮ってから切り出してください。
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