AI画像拡大・写真修復に使うモデルとライセンス一覧
AI画像拡大にどのモデルが使われているかは、結果の再現性と、仕上がりを仕事で使えるかどうかを左右します。Airpicは背景削除、ノイズ除去、古い写真の修復、動画の文字起こしまで、すべてのツールの背後にあるモデルとライセンスを公開しています。この記事では、その一覧と、商用ライセンスにこだわる理由、各モデルが動く場所と上限サイズをまとめます。
背後のAIモデルを知るべき3つの理由:再現性、ライセンス、期待値
「AIで高画質化します」という説明だけでは、写真に何が起きるのか判断できません。仕上がりを仕事で使う人も、家族の一枚を預ける人も、確認したいのは次の3点です。
- 再現性。モデル名とバージョンが分かれば、どんな入力にどんな結果が出るかを論文や公開リポジトリで確かめられます。来月また同じ写真を処理しても同じ結果になるのか、それとも中身が黙って入れ替わるのか。公開されたモデルなら、その答えが出ます。
- ライセンス。モデルによっては「研究目的のみ」「非商用のみ」という条件が付いています。サービス側がそのモデルを使っていれば、出力した画像を商品ページや印刷物に使うユーザー側にも影が落ちます。どのモデルを、どのライセンスで使っているかが見えなければ、安心して納品できません。
- 現実的な期待値。画像拡大モデルは、失われた情報を発明するのではなく、元のピクセルから整合性のある細部を補います。顔の復元モデルは、学習した顔の分布に基づいて目や口を再構成します。どのモデルが何をするかを知っていれば、「小さな文字がくずれた」「顔が別人になった」という失敗の原因と対策が分かります。
汎用のチャット型AIに「この写真を高画質にして」と頼むと、似た別の画像が1〜2メガピクセルで生成されます。Airpicはアップロードされたファイルそのものを処理し、元のピクセルを保ったまま補正します。この違いは、使っているモデルの種類の違いそのものです。
ツール別モデル一覧:Real-ESRGANやGFPGANをオンラインで使う
Airpicの各ツールが呼び出すモデルは次の通りです。ここに挙げたもの以外は使っていません。
- 画像拡大:Real-ESRGAN x4plus(BSD-3ライセンス)。写真向けの汎用モデルで、×2、×4、そしてタイル処理で最大600メガピクセルまで拡大します。Real-ESRGANをオンラインで試したい方は、インストールもGPU環境も用意せずに画像を拡大するツールからブラウザで実行できます。
- アニメ・イラストの拡大:Real-ESRGAN x4plus-anime(BSD-3)。輪郭線がはっきりした平面的な絵柄に向く派生モデルで、アニメやイラストを高画質化するツールが使います。写真にかけると質感がのっぺりするので、写真にはx4plusを選んでください。
- 背景削除:BiRefNet(MIT)。フル解像度で境界を計算するため、髪の毛1本単位で残り、ふちに白いにじみが出ません。画像の背景を削除するツールの中身です。
- カラー化:DDColor(Apache-2.0)。白黒写真をカラー化するツールと、古い写真の修復の「カラー化」オプションで使います。
- ノイズ除去:SCUNet(Apache-2.0)。高感度撮影やスキャンのざらつきを、細部を残して取り除きます。
- ブレ補正:Restormer(MIT)。手ブレ(モーションブラー)とピンボケ(デフォーカス)で別々の重みを使います。
- オブジェクト削除:LaMa(Apache-2.0)。ブラウザ上で塗ったマスクの範囲だけを、周囲から再構成します。
- 顔の修復:GFPGAN v1.4(Apache-2.0)。顔の検出、位置合わせ、貼り戻しはAirpic独自の実装です。GFPGANをオンラインで試したい場合は、古い写真をAIで修復するツールで「顔を補正(AI)」をオンにすれば動きます。
- 参照写真つきの修復:FLUX.2 klein 4B(Apache-2.0)。同じ人物の写真を最大3枚渡し、本人らしさを保ちながら顔を再構成します。
- 動画の文字起こし:Whisper large-v3。99言語に対応し、動画を文字起こしするツールが使います。
- 要約:Qwen3。動画を要約してドキュメント化するツールで、文字起こしから見出し、要点、章立てを生成します。
「写真修復に使えるオープンソースのモデルはどれか」と探している方への答えは、この一覧のうちGFPGAN、Real-ESRGAN、DDColor、LaMaの組み合わせです。Airpicの古い写真の修復は、この4つを1回の処理の中で順番に通します。
商用利用できるライセンスとは:写真修復のオープンソースモデルを選ぶ基準
BSD-3、MIT、Apache-2.0は、いずれも商用利用を認める寛容なライセンスです。実務上の意味は単純で、Airpicで拡大した商品写真をネットショップに載せる、修復した写真を写真館の納品物にする、カラー化した写真を書籍に使う、といった営利目的の利用に、モデル側の制約がかからないということです。ただし出力画像の権利関係は元の写真の権利に従います。他人の写真を修復しても、その写真の著作権があなたに移るわけではありません。
一方で、画像AIの世界には「非商用のみ」「研究目的に限る」という条件付きで公開された、性能の高いモデルがいくつもあります。顔の復元や拡大の比較で上位に来るものも含まれます。Airpicはそれらを採用していません。理由は2つです。第一に、サービスが有料である以上、非商用条項を守れないからです。第二に、ユーザーが仕上がりを仕事に使ったとき、その責任をユーザーに押し付けることになるからです。「結果が良いから」で選ぶと、使う人が後から困ります。
GFPGANについては、さらに一段踏み込んでいます。GFPGAN本体はApache-2.0ですが、公開コードには別のライセンス条件を持つプロジェクトに由来する顔の貼り戻し処理が含まれていました。Airpicはその部分を使わず、顔の検出、位置合わせ、色合わせ、貼り戻しを独自に実装しています。見た目のためだけでなく、ライセンスの境界をはっきりさせるための設計です。
正直に書いておくべき限界もあります。GFPGANは「顔はこう見えるはず」という学習済みの分布から再構成するため、元画像の劣化が激しい場合(メッセージアプリで何度も転送された小さな画像など)、忠実度100%では整った別人の顔になることがあります。よく言われる「修復を2回かければもっと良くなる」も誤りで、同じ顔モデルを重ねがけしても本人らしさは上がらず、モデルの癖が積み重なるだけです。Airpicでは「強さ」のスライダーを40〜60%に下げるか、同じ人物の参照写真を渡す方が確実です。
モデルが動く場所と、ツールごとの上限サイズ
すべてのモデルはEU域内のデータセンターにあるGPUで動きます(画像圧縮だけはGPUを使わず、CPUで数秒で終わります)。アップロードしたファイルはダウンロードから1時間以内、ダウンロードしなかった場合でも1日以内に削除され、モデルの学習には一切使いません。EU内で処理することの法的な意味はEU内で画像処理するAIとGDPRにまとめています。
モデルごとに、扱える画像サイズの上限が異なります。GPUメモリと処理時間に合わせて決めた上限で、超える場合は先に縮小してからアップロードしてください。
- 画像拡大:出力で最大600メガピクセル(例:30,000×20,000px)。大判印刷用に、Real-ESRGANをタイルに分けて適用します。
- 古い写真の修復:入力は最大20メガピクセル。高解像度でスキャンした写真は長辺を縮小してからアップロードします。顔の復元モデルは512ピクセル四方の顔領域で動くため、入力を大きくするより、顔がはっきり写っている写真を選ぶ方が仕上がりに効きます。
- ブレ補正:入力は最大25メガピクセル。Restormerは重いモデルで、この上限はGPUメモリに合わせたものです。
処理時間の目安として、Airpicが2026年9月19日に本番環境で計測した例を挙げます。1000×1289ピクセルの古い写真は、ノイズ除去、顔、カラーの3段階を通して9秒で修復が終わりました。同じ日に、2.5度傾いてスキャンされた写真は自動補正で2.48度分が戻され、手で回転させる必要はありませんでした。初回はモデルの読み込みで待ち時間が加わることがありますが、2枚目以降はこの程度の速さです。
モデル一覧の確認先と、古い写真をAIで修復する手順
各モデルのバージョン、ライセンス、公開リポジトリへのリンクは、「Airpicについて」のページにある表にまとめています(各ページのフッターから開けます)。モデルを入れ替えたときは、その表を更新します。アカウントもサブスクもなしで提供している理由はAirpicを選ぶ理由をご覧ください。
実際にGFPGANとReal-ESRGANを通してみる手順です。古い写真をAIで修復するツールを開き、次の順に進めます。
- 「写真を選ぶ」でスキャン画像を読み込みます。JPG、PNG、TIFF、HEICのいずれでも構いません。20メガピクセルを超える場合は先に縮小します。読み込むと、ファイル名と入力サイズ、出力サイズを表示したカードに切り替わります。
- 「顔を補正(AI)」はオンのままにします。これがGFPGAN v1.4を呼び出すスイッチです。「強さ」のスライダーは顔の忠実度を表し、初期値は60%です。元の写真が極端に小さい、または何度も再圧縮されているなら、40%まで下げると本人らしさが残ります。
- 白黒写真をカラーにしたいときだけ「カラー化」をオンにします(DDColor)。傾いたスキャンなら「自動で傾きを補正」を、折れや傷があるなら「傷やシミを修復(塗って指定)」をオンにして、ブラウザ上で傷の部分を塗ります。塗った範囲だけをLaMaが埋めます。
- 同じ人物のはっきりした写真が手元にあれば、「同じ人物の参照写真(任意)」に最大3枚追加します。この場合はFLUX.2 klein 4Bが顔を再構成し、スライダーは「忠実度」に変わって初期値は85%になります。処理後は候補が複数並ぶので、参照写真との類似度を見ながら1つ選びます。
- 「画像を処理」を押します。処理が終わると「段階」のチップ(傾き補正、傷、ノイズ除去、顔、カラー)が並び、クリックするたびに比較ビューの処理後が切り替わります。どのモデルが何を変えたかを、段階ごとに目で確認できます。
- 処理とプレビューは無料です。「ダウンロード」でフルサイズを保存します(月1回は無料、以降は有効期限のないクレジット)。仕上がりが違うと感じたら「設定を変えてやり直す」で強さを変えて再処理してください。
この記事に挙げたモデル以外は、古い写真をAIで修復するツールのどの段階でも使っていません。
FAQ
Real-ESRGANはオンラインで無料で使えますか
Airpicの画像拡大はReal-ESRGAN x4plusで動いています。インストール不要で、処理とプレビューは無料、フルサイズのダウンロードは月1回無料、その後は有効期限のないクレジットを使います。アカウント登録もありません。
GFPGANで修復した写真は商用利用できますか
GFPGAN v1.4はApache-2.0ライセンスで、商用利用を認めています。Airpicでは顔の位置合わせと貼り戻しも独自に実装しています。ただし元の写真の著作権や被写体の権利は別の問題なので、他人の写真を仕事に使う場合はその許諾を確認してください。
AI画像拡大にはどんなモデルが使われていますか
Airpicでは写真にReal-ESRGAN x4plus、アニメやイラストにReal-ESRGAN x4plus-animeを使います。どちらもBSD-3ライセンスです。汎用のチャット型AIは画像を生成し直すため、元のピクセルを補正するこれらのモデルとは仕組みが根本的に異なります。
写真修復に使えるオープンソースのモデルは何がありますか
顔の再構成にGFPGAN、背景の拡大とクリーニングにReal-ESRGAN、カラー化にDDColor、傷の除去にLaMaが代表的です。いずれも商用利用できるライセンスで、Airpicの古い写真の修復はこの4つを1回の処理の中で順に適用します。
実測データ
- 1000×1289pxの古い写真を、クリーンアップ、顔、カラー化の3段階で9秒で修復しました。 (19-09-2026)
- 2.5度傾いたスキャン画像を自動でまっすぐにしました(補正は2.48度)。 (19-09-2026)
airpic.appで、GPUが起動済みの状態で計測しました。しばらく使われていなかった場合、最初の処理は起動のために40〜90秒長くかかります。
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